【歴史からブランドを読み解く009】20世紀、機能的価値から情緒的価値へ


”感情的なつながり”がブランド戦略の中心に


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20世紀になると、
アメリカとイギリスを中心に

ブランドは単なる「機能的価値」___
つまり
「製品の機能や品質を保証する記号」から
進化を遂げました。


 

消費者の感情やライフスタイルと結びつき、

”「共感を生む存在」”(=「情緒的価値」)へと
変化したのです。

 

 

この進化により、

ブランドはロゴマークやスローガンを通じて、

企業の価値観や世界観を発信する戦略を
確立
しました。

 

例えば


・スローガンで、
 消費者の心に響くメッセージを伝える

・ロゴマークで、
 一目でブランドの理念を表現する

などによって、

消費者との感情的なつながりを
築くようになったのです。

 

こうした情緒的価値の確立が、

ブランド戦略の中心に
位置付けられるようになりました。

企業の社会的責任と、慈善活動の広がり

20世紀前半から中盤にかけて、

アメリカやイギリスでは

企業や富豪による慈善活動(※)が
広がりました。

※=フィランソロピー活動

 

これによりブランドは、

・社会的責任

・理念

などを消費者に伝える役割を果たすように
変化していきました。

その頃日本は…

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【1900年代~1940年代】
 …ブランドの基盤づくり

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▶︎商標制度の整備

 1884年に商標条例が制定。
 その後も活用が進み、国内企業が
 商標やロゴを通じて
 商品やブランドを識別する仕組みを確立。

  例)キッコーマンやアサヒ、キリンが
    国内外での競争力を高める
    ブランドづくりを展開


▶︎輸出産業でのブランド構築

 1900年代初頭から、
 織物(西陣織など)や陶器、有田焼といった
 工芸品が海外市場で評価され、
 日本製品のブランド価値を向上。

 

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【1910年代~1940年代】 
 …広告の普及
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▶︎印刷技術の発展による広告の進化

 1910年代以降、
 新新聞広告やポスターが普及。
 企業がブランド認知を高めるための
 手段として広まる。

 

 広告活動は国内だけでなく、
 輸出向けプロモーションにも活用。

 


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【1920年代~1940年代】
 …社会貢献活動の芽生え
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▶︎渋沢栄一が提唱した「道徳経済合一説」
 1920年代以降、
 「企業は利益を追求するだけでなく、
 社会に還元すべき」
 という理念が広がる。

 

  例)富豪や企業が教育や医療分野への
    寄付活動を行い、企業の社会的責任への
    意識が徐々に浸透


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【1945年~1960年代】
 …戦後復興期のブランド形成

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▶︎「メイド・イン・ジャパン」の信頼性向上

 戦後、国内外で日本製品の
 品質向上が図られる。
 家電や自動車が新たな産業分野で
 ブランドを構築。

  例)ソニーの家電革新、
    ホンダのオートバイ、トヨタの信頼性

▶︎消費文化の形成 

 1950年代-1960年代、
 日本にも大量生産・大量消費の波が到来。
 ブランドを通じて消費者の生活を豊かにする
 取り組みが進む。